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連載

「With QUESTION」 5周年 特別対談 10

「変化の入口」をつくる汽水域として、QUESTIONと京信が挑む次のステージ

本連載「With QUESTION」では、コミュニティ・バンク京信(以下、京信)が運営する共創施設QUESTIONのオープン5周年を記念し、「QUESTIONとは何か?」をあらためて問い直してきました。

最終回に登場するのは、2026年4月から新たにQUESTION館長になった津田郁太と、QUESTIONの立ち上げから今に至るまで、ずっと運営に参画してきた株式会社ツナグムの田村篤史さんです。

聞き手を務めてきた平野哲広は、QUESTION6階にある河原町支店の支店長に就任。これまでとは違う視点から、座談会に参加します。

QUESTIONを創設時から知る津田と田村さん、そしてQUESTION館長を経て河原町支店に異動した平野。QUESTIONと深く関わってきた3人が語る、QUESTIONのこれまでと、次の5年の可能性とは?

お話を伺った人

  • 津田 郁太 QUESTION館長

    1981年京都市生まれ。幼少期は兵庫県で育ち、大学時代は大阪に住み、就職で京都に辿りつき、現在は京都に住むという一人三都物語実践中。2児の父。京都信用金庫で営業店を3店舗、京都府外郭団体への出向を経て、本部にて創業支援業務、海外販路支援業務(東南アジア・インド担当)を経験した後、QUESTIONの立ち上げに携わり、オープンと同時に副館長に就任。「今の仕事はおもろいか」を原点に、おもろい人物・会社を仕事に巻き込む活動に邁進。北野支店の支店長を経て、2026年4月QUESTION館長に就任。

  • 田村 篤史さん 株式会社ツナグム代表取締役・聞き手

    京都生まれ。3.11を契機に東京からUターン。京都移住計画を立ち上げる。2015年にツナグムを創業。採用支援、企業や大学など拠点運営、地方への関係人口づくり等を通じて、人の働く・生きる選択肢を広げる。2020年、京都信用金庫の共創空間QUESTIONの運営に参画。新会社Q’sを設立し「京都のまちにもう一つの台所を」をコンセプトにしたコミュニティキッチン事業を開始。

  • 平野 哲広 QUESTION元館長/コミュニティ・バンク京信 河原町支店 支店長

    大阪生まれ、京都育ち。2001年コミュニティ・バンク京信に入社。営業店と本部を経験し、2024年4月にQUESTION館長に就任。コミュニティマネージャーとして金融の枠を飛び越え、様々な人や知識、知恵、情報とつながり、人と人、事業と事業をつないでいる。2026年4月、QUESTION6階の河原町支店支店長に就任。

QUESTIONは「新しい何か」を生むきっかけ作りの場

平野 2026年4月付で、僕が河原町支店の支店長になり、初代副館長の津田さんがQUESTIONに戻ってきて、館長になりました。

津田 まるでこの座談会を予見していたかのような、ドラマチックな人事ですね(笑)この連載も最終回ですが、振り返ってどうでしたか?

平野 QUESTIONをきっかけにいろいろな価値が生まれていることを再認識できました。福井県京都事務所の入江さんがQUESTIONで出会った学生が、その後福井県で働くなど、普段会わない人同士が出会うことで、新しい何かが生まれる。そのきっかけ作りをし続けているのがQUESTIONなんだなと思います。

津田 この連載ではそうやって生まれた価値を事例として残したわけで、それができたこと自体が大きな変化ですよね。僕が副館長だった5年前は立ち上げ直後で事例を作っている段階だったけど、今は積み上げてきたものがありますから。

田村 津田さんたちが種をまいていた時期にQUESTIONにいなかった平野さんが、「あそこに花が咲いているから見に行きましょう」と案内するような連載でしたね。

平野 田村さんは設立準備中から今までずっとQUESTIONに関わり続けてくれていますよね。この5年間のQUESTIONは、田村さんにはどう映っていましたか?

田村 僕はQUESTIONを作る時、「お寺のような存在になればいい」と話していたんです。そもそも金融機関のルーツはお寺が金貸しを始めたことにありますし、1階は境内で、マルシェは門前市、5階の「Students Lab」は寺子屋と、昔のお寺にあった機能がQUESTIONには集まっている。悩みを相談できる先として、駆け込み寺の要素もありますよね。

5年前にこの話をしたときは「どういうこと?」みたいな感じでしたけど(笑)、今はだいぶそういうイメージに近づいてきたなと思います。

株式会社ツナグム代表取締役・聞き手の田村篤史さん

津田 この5年間で生まれた出会いや事例はすばらしく、「後々何かにつながるかもしれない」という種はQUESTIONにたくさんあるのだと思います。その価値を理解したお客様が開催してくれているイベントも増えていますよね。

次の5年間では、そうやってQUESTIONで生まれている新しい何かを、今度は意思を持って生み出せるようになれるといいなと思っています。

平野 その起点となるのがコミュニティマネージャーですよね。僕は河原町支店に異動して、支店から外へ連れ出して、地域で活動している人とつないでくれる人の重要性を改めて感じました。本当にありがたい存在だと実感しています。

「よってたかって」お客様の課題解決へ

津田 平野さんはQUESTION館長を経て再び支店に戻ったわけですが、QUESTIONを経験する前後で、考え方に変化はありますか?

平野 確実に変わったのは、「とりあえず話してみる」姿勢です。以前は「この人にこの情報はおそらく不要だろう」と勝手に判断してしまっていたけれど、今は「興味を持ってくれるかわからないけど話してみる」という動きがいずれ価値になるかもしれないと思うようになりました。

津田 まさに京信が目指す「おせっかいバンカー」ですね。

QUESTION館長の津田郁太

平野 あと、自己開示をするようになりました。QUESTIONでは職員の趣味や興味関心を公開していますが、そこから話が盛り上がることが結構あります。ある程度こちらの情報を伝えると、相手も自分の話をしてくれることが多いなと思います。

田村 QUESTIONと支店では動いているロジックが違うじゃないですか。QUESTIONでやっていた「何かにつながるかも」という動き方を支店でどう生かすか、考えていることはありますか?

平野 6月から京信は全店が課題解決型店舗になりましたが、まさにQUESTIONのやり方が合うと思っています。まずはお客様の困りごとを聞いて、自分で解決できないものは他の人の知見を借りる。それこそQUESTIONに持っていけば、幅広いネットワークの中から答えを持っている人とつなげてもらえるかもしれません。

だから、「まずはお客様の話を聞こう」と河原町支店のみんなには伝えています。

津田 QUESTIONとしても、支店の職員がお客さまの課題解決に取り組みやすくなるようなサポートができたらいいんだろうなと思っています。そこは連携が必要ですね。

そういう意味では、QUESTIONと支店の両方を理解した僕と平野さんが同じビルにいるのは大きいですよね。QUESTION史上初のことであり、これで無理なら課題解決型営業はやめた方がいい(笑)。

平野 だいぶ荷が重い(笑)。でも、河原町支店のメンバーも「平野さんが河原町支店に来たということは、QUESTIONと一緒にやるってことですね」と言ってくれているので、チャンスだなと思います。

津田 今は「QUESTIONに何を相談していいかわからない」状態だと思うので、まずは河原町支店の皆さんと認識のすり合わせをするのが最初のステップです。その上で、お客様から聞いた課題を僕らに共有してもらえると、事例が生まれる可能性が出てくるなと思います。

平野 すでに「QUESTIONは使えるぞ」と気づき始めている人も出てきていますからね。西捷さんのような事例が増えると面白いなと思います。

田村 「お金の話に限らず、気軽に相談できる」という存在になれると、支店と連携した事例がどんどん起きそうです。そのためにも、支店の皆さんにQUESTIONの使い方をもっと知ってもらうことが重要ですね。

平野 営業にとってもQUESTIONに頼る安心感があるはずなんですよ。西捷さんの担当だった山田さんは「QUESTIONに相談して、自分だけで抱え込まなくていいんだと思ってホッとした」と言っていましたし、うまく使ってほしいなと思います。

僕、QUESTIONは「寄ってたかって」がキーワードだと思っているんです。寄ってたかって、みんな力を合わせて何かをする。そんなイメージを持ってもらえるといいですね。

QUESTIONは汽水域のような場所

平野 ただ、QUESTIONは体験しないと価値がわかりにくい場所でもあるので、河原町支店のメンバーには「一緒に行こうよ」と声をかけています。せっかく同じ建物にいるんだから、メンバーにはもっとQUESTIONの活動に参加してほしいですね。

僕自身、河原町支店に異動して、ワクワクしているんです。かつての自分だったら京信内のリソースだけで戦おうとしていましたけど、QUESTIONで得た知識や人脈を生かせばできることは格段に増えますから。

津田 金融機関は閉ざされた世界で、社外との接点が少ない業種です。まずは外部の人と協力することに対する壁を崩せるといいですよね。

平野 実は僕もQUESTIONに来るまで、社外の人と交流する機会をあまり多くは持ってきませんでした。特に信用金庫は対応できるエリアに限りがあるので、エリア外の人とつながっても活かしきれないように感じていました。

ところが一見仕事とは無関係に思えるつながりによって、エリア内の人たちの課題を解決できる可能性は十分あるんです。それを実感できると、人脈を作る大切さが腑に落ちると思います。

田村 外部とのつながりが増えれば、自分だけで課題を抱えなくてよくなりますよね。手放せる先が増えれば楽になるし、「あの人とつなげればこういう展開があるかも」と考えるのも楽しくなる。それを体感する人が増えるといいなと思います。

平野 この間もお客様から「東北出張が多い社員のために、東京のコワーキングスペースを探している」と聞いて、ヒトカラメディアの影山さんに紹介してもらいました。

そうやって「さっと聞ける相手がいる人」だとお客様から思ってもらえれば、他のことも相談してもらえるようになるはず。その積み重ねの先に課題解決があるのではと思います。

田村 施設を利用する人たちにとって、「組織の変わり者の寄り所になれる」ことがQUESTIONの価値だと思っています。

金融機関に限らず、組織は基本的には閉じているものです。その中で「このままじゃあかん。でもどうしたらいいかわからない」と感じている組織の少数派は孤独になりやすいですが、ここでなら仲間を作ることができます。

また、QUESTIONは組織内に引きこもっている人が一歩を踏み出しやすい場所でもあります。外に出るのは怖いけれど、QUESTIONならお節介を焼いてくれるコミュニティマネージャーがいて、しかも目的がなくてもなんとなく来れる。

そういう意味で、QUESTIONは汽水域のような場所だと思います。川魚が汽水域で少しずつ体を慣らして海へ出るように、変化に慣れることができる場所だなと。

津田 僕らみたいなつなぐ人がいて、情報があって、人の出入りがある場所は、僕が知る限り京都には他になさそうなんですよね。

それは、QUESTIONが利益だけを考えて運営している施設ではないからだと思います。コワーキングスペースだけではなく、学生が集まる「Students Lab」やコミュニティキッチン「DAIDOKORO」ような要素があるからこそ、さきほど田村さんが挙げてくれたような価値が生まれるわけですから。

平野 それはこの連載を通じて強く感じました。ビル自体にさまざまな機能があるから金融機関に用がない人も立ち寄れて、偶発的な出会いが起き、それがきっかけで新たな何かが生まれ、先々で金融機関としての我々が役に立つこともあるわけです。

しかも、QUESTIONにはテーマも期限もありません。目的は何でもいいし、花が咲くのは数年先で、別の場所であってもいい。そういう余白があるのが特徴ですね。

次の5年間は「QUESTIONの価値」を証明する期間

田村 津田さんは館長として、これからやっていきたいことはありますか?

津田 QUESTIONの価値にエビデンスをつけたいです。価値があるのは確かですが、現状は根拠がありませんから。

金融の文脈で言うと、「お金に換算しにくいものを価値と認め、それに対して資金をつける」ことに近いとイメージしています。それができた時、初めて一つのストーリーとして完結する気がするんですよ。5年経った今なら仮説くらいは立てられそうなので、次はそれを証明できればいいのかなと。

その一環として、例えばポッドキャストは一つの手だと思っています。ゲストを招いて、ゲストの現在地や活動を掘り下げ、今後の展開の可能性まで話ができると、新たな種を作れそうです。

田村 「何かが起こるかもしれないし、起こらないかもしれない」という手触り感でやれると、QUESTIONらしさも出せそうですね。

津田 QUESTIONから生まれた価値は、アウトプットとして表現しにくいのが課題です。見える化するには、アーカイブとして事例を積み重ねていくしかないですね。

平野 事例を残すと同時に、お客様が感じた価値を、お客様自身に語っていただけるといいなと思います。そうすれば「QUESTIONは使わな損」と職員も思うようになり、良い事例が生まれていくかなと。

そのためにも、僕はこのビル自体を「河原町支店でありQUESTIONである」と地域の皆さんに思ってほしいです。QUESTIONでつながりを作って、自分のネットワークが広がったり、数年後に花が開いたり、そういう体験をしていただきたいです。

そして、この連載に河原町支店のお客様が登場するような未来がつくれたら最高ですね。

津田 QUESTIONの価値と可能性を信じる僕らが同じビルにいますからね。うまく連携して、一緒に面白いことをやっていきましょう!

特別対談記事は全10記事!

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