ARTICLES
記事
今はまだ、全てがクエスチョン。│グローカル人材開発センター×ツナグム×京都信用金庫(前編)
11月2日(月)のオープンまで、あと19日となりました。想像を絶するハードスケジュールで開店準備を進めている私たちですが、ある時、「“QUESTIONとは何なのか“を、皆さんにちゃんとお伝えできているのか?」という問いが浮かんできました。さっそく、QUESTIONの中核を担う方々に集まってもらうことに。秋晴れの心地よい日差しの中、出来たてほやほやの大階段に腰かけて、QUESTIONの生い立ちや未来について語り合いました。
NPO法人グローカル人材開発センター 代表理事 行元 沙弥さん
株式会社ツナグム 代表取締役 田村 篤史さん
京都信用金庫 理事長 榊田 隆之
一人では思いつかなかったことも、お二人と一緒だから実現できる
──さっそくですが、榊田さんはなぜQUESTIONを作ろうと思ったのですか?
榊田:それはね……それは、最大のクエスチョンかな。ここに田村さんがいて、行元さんがいて、お二人がいたからQUESTIONを作ろうと思ったのかもしれない。僕たちの周りには、たくさんの共感し合える仲間がいます。それぞれやっている仕事も年齢も違うけれど、どこかで思いがつながっているんですよね。コミュニティの中で生まれる人と人とのつながりが、大きなエネルギーになる。そういうことは、ずっと考えていました。
京都信用金庫(以下、京信)は1971年から「コミュニティ・バンク」を理念として掲げ、地域の経済的なつながりを作り、その上に心豊かなコミュニティを形成することを仕事にしてきました。だから、河原町支店ビルの建て替えを決めた時に、せっかくなら人を軸にした場を作りたいと思ったんです。豊かなコミュニティの原点は人が集う場にあって、そこで対話が生まれ、気づきや出会いが生まれる。共感や理解が循環して広がっていくと、コミュニティができて、皆が同じ方向を向いて未来を考えられるようになりますよね。そういう空間になるといいなぁ。私一人では思いつかなかったことも、お二人と一緒だから実現できる。そういうパートナーがいることを幸せに思っています。
昔は金融機関に対して、もっと固くて冷たいイメージを持っていました
──行元さんと田村さんは、なぜQUESTIONに関わろうと思ってくださったのですか?
行元:一番の理由は、感覚的に「これだ!」と思ったからです。お話を伺って、「おもしろそう!」とすごくワクワクして。グローカル人材開発センターが支援する学生たちの未来にとっても、QUESTIONという場が大きなチャンスになると確信しています。あとは、榊田さんのことを信頼しているので、同じ景色を見たいなという気持ちですかね。まるで愛の告白みたいになっちゃいましたね(笑)。
私たちは、次世代のリーダーとなる学生たちの学びと実戦の場づくりをしているのですが、 彼ら、彼女たちにいつも、キャリアプランを立てることよりも、偶発性、つまりハプニングを楽しむことが大事だと伝えています。私自身も、NPOのことなんて全然知らなかったのに、この春までグローカル人材開発センターの代表理事をされていた榊田さんに出会ったおかげで今があります。QUESITONは私たちにとって、榊田さんが起こしてくれた素晴らしいハプニングです。予想のつかないところにたどり着けると思うので、とても楽しみです。
田村:僕は、東京で働きながら2012年に京都移住計画の活動を始めたんですけど、その頃から京信さんにはお世話になっていて。先代の増田顧問が「あなたたちは、我々信用金庫が本来すべきことをやってくれている」と言ってくださったんです。その言葉が印象的でした。当時はまだ「金融機関とはなんぞや?」という状態で、深い意味はよくわからなかったんですけどね。その後も継続的にイベントや起業家EXPO、起業家成長サロンなどでご一緒させてもらって、だんだん金融機関のイメージが変わっていきました。固いとか冷たいとか、そういうイメージを持っていたけれど、柔らかくてあたたかい人たちだなと思うようになって。ご一緒する中で、「これは京信さんにとって儲けにはならんよな?」と思う場面がたくさんあったんですよ。金銭的な損得だけで考えるのではなく、「コミュニティ・バンク」という理念を、職員の方々がちゃんと体現されていることを感じました。
僕らツナグムは、名前の通り「つなぐ」と「生む」をミッションとして、これまでも、色々なスペースの利活用を支援してきました。人と場のつながりを生むことが僕らの仕事なので、人と企業のつながりを作っている京信さんの仕事と、重なる部分があるんです。京信の職員さんがうちの会社に派遣研修に来てくださる時には、「僕らは、“お金を貸さない京都信用金庫”みたいな会社です」と最初に伝えています。QUESTIONでは、それぞれの分野で培ってきたノウハウを掛け合わせることで、これまでにない広がりが実現するのではないかとワクワクしています。
最初から決めつけず、皆さんと一緒に時間をかけて答えを考えていきたい
田村:榊田さんは、きっと他にも選択肢があった中で僕らをパートナーに選んでくれたと思うのですが、僕らに期待されているのってどんなことですか?
榊田:それもクエスチョンだね。今はまだ、全部クエスチョンかな。
一同:(笑)
榊田:私が答えを考えるのではなく、皆さんと一緒に時間をかけて答えを考えていきたいなと今は思っています。あえて最初から決めつけず、ここからどうなっていくのかを楽しんでいきたい。世の中は間違いなく、人を軸にしてものごとが動く時代になっていきます。私もこうしてSDGsのバッジをつけていますが、世界全体の潮流として、人が幸せになること、持続可能な平和を作ることが大事になってきている。その中で、皆さんとこの場所を通じて何ができるのか、私自身も実務家として実践していきたいです。
一つ、京都のまち全体にソーシャルな取り組みの土壌ができていくというイメージはありますね。企業も行政も学校も、皆が寄ってたかってソーシャルなことを考えるまちになるといいな。QUESTIONが、その発信基地になっていってほしいと思います。
NPO法人グローカル人材開発センター http://glocalcenter.jp/
株式会社ツナグム https://tunagum.com/
聞き手:津田 郁太(QUESTION副館長) 文・写真:柴田 明 写真:冨田 知宏(京都信用金庫)