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お金持ちではなく、“信用持ち”になれる場所│グローカル人材開発センター×ツナグム×京都信用金庫(中編)

(前編はこちら)

[お話を伺った人]
NPO法人グローカル人材開発センター 代表理事 行元 沙弥さん
株式会社ツナグム 代表取締役 田村 篤史さん
京都信用金庫 理事長 榊田 隆之
 

どんな結果になるかわからなくても、まず実践する

田村:「ソーシャル」というキーワードは、京都がこれから打ち出していく一つの柱だと思っています。ただ、企業やNPOがどれだけ頑張っても、その商品やサービスを買ってくれる人がいないと持続可能にはなりませんよね。まちに住む人のお金の使い方も、少しずつ変わっていくだろうし、そこから「お金ってなんだろう」という問いが浮かび上がってきます。お金には良い面も悪い面もあって、ではお金に対する価値観が成熟していくってどういうことなのか。QUESTIONという金融機関が作る場で、そんなことを皆で考えられたらおもしろいですね。

 

行元:今、高校生や大学生も含め多くの人が、「お金ってなんだろう」という問いを抱えているのを感じます。榊田さんも「プロフィット(利益)ベースから、バリュー(価値)ベースへ」というスローガンを掲げておられるし、世界的にも、あなたが使ったお金がどこへいくのかを考えようという潮流がありますよね。最も大きな流れとしてSDGsがあるけれど、それ以外にもたくさん、経済性だけでなく社会性を意識しようという動きが生まれていて。

そういう大きな問いに向き合うためには、私は、アクションを起こすしかないと思っています。たとえば、榊田さんが仲間と共に一つのNPOを立ち上げて、7年間、代表として活動されていたこと。そのアクションに対して周りの人たちが感じることって、すごく大きいと思うんですよ。榊田さんは今も「クエスチョンです」と言いながらも、どんどん実践されていますし。論理的な予測や見通しが立ってから動くのではなく、どうなるかわからないけど、まずやってみる。どんなプロジェクトにとっても、どんな会社にとっても、大事な姿勢ですよね。そういう大人がいるだけで、子どもたちや若い世代も自ずと真似して動けるようになっていきます。

 

田村:僕らに声をかけてくださったことも、まさに榊田さんのアクションですよね。先ほどのお話を聞いて、根拠となるデータや実績があったわけじゃなくて、どうなるかは読めないけれど、一緒にやろうと言ってくださったんだなと思いました。そうやって恐れずに一歩踏み出せる人が増えていくように、僕らが「失敗してもいいんだよ」「やってみなはれ」って背中を押す役割を担えるといいのかな。

 

榊田:先のことなんて、考えてもわからないもんね。過去のことはいくらでも語ったり分析したりできるけど、未来のことは一秒先だってわからない。だから、おもしろい。わからないから、皆さんと一緒にその可能性を探す旅に出たいんです。

問いが明確じゃなくても、どんな分野や経歴の人でも、オープンに歓迎したい

──では、皆さんはどんな人にQUESTIONに来てほしいですか?おそらく「それもクエスチョン」とおっしゃると思うのですが……。

一同:(笑)

榊田:そう、全部クエスチョンなんだよ。やってみないとわかりません。人が人を呼んでくるから。予想しない方が気楽でいいんじゃないかな。ただ、特定の人たちだけが集まる場所にはしたくないので、誰にとっても入りやすい雰囲気を保つことは大事にしたいです。それから、先ほどソーシャルな取り組みの発信基地になっていきたいと言ったように、社会課題に向き合う話がここでたくさん生まれるといいなと思っています。社会課題と一口に言ってもその内容は本当に多岐にわたるので、色んな分野の、色々な経歴を持った人が集まる場になっていってほしいですね。

 

行元:今の榊田さんのお話を聞いて、ジョン・D・クランボルツ博士の計画的偶発性理論を思い出しました。彼はキャリアを考える上で、ゴールを定めることよりも予期せぬ偶然をチャンスにつなげることが重要だと言っているんですけど、QUESTIONはまさに偶然の重なりでできていく場なんですね。「決めない」ことを決めるっていいなぁと、すごく共感しました。

私の希望としては、若い人をちゃんと信じて背中を押してくれる大人がいることで、学生や若者が集う場になっていけばいいなと思います。京都は学生のまちなので、未来の象徴である彼らの成長を後押しする存在でありたいです。

 

田村:踏み出すことが怖くて動けない人たちを勇気付ける役割は、僕も絶対に必要だと思っています。何らかの問いを持っている人はもちろんなんですけど、問いになる前の違和感や、期待とか諦めのようなもやもやした感情も歓迎したいです。「本当はこうしたいのに上手くできない」「仲間がほしい」「誰に相談したらいいかわからない」。こういう悩みを抱えている人が、現代社会にはたくさんいるから。運営メンバーがそこに寄り添って、一緒に進んでいける場所に……  

榊田:(スマホを構え、パシャ)

田村:写真撮ってる(笑)。榊田さんのこういうお茶目っぷりも、ぜひ皆さんに伝えたいなぁ。

行元:うんうん、めっちゃ偶発だ……!今もね、私、榊田さんの「わかんない」を聞いて、自然体になれた気がします。インタビューだからって肩肘はってしまってたなぁって。事前に質問を送っていただいたから、ちゃんと答えを準備してメモ帳に書いてきたんです。でも、この場の会話の中でしか起こらない、リアルな掛け合いがやっぱりいいなって思いました。もう、何も決めない方がいいんですかね。

榊田:それは困る!

行元:そうですね(笑)。QUESTION全体として、こんな雰囲気で、オープンな場所でありたいですね。名前やコンセプトから「ちゃんと問いを携えていかないといけない」と思われがちだけど、そんなことないんですよ。学生と話していても、やりたいことが明確じゃないといけないと思っている人が多いんです。何をしたらいいのかわからない人や、なんとなくモヤモヤしている人にも、ぜひ来てほしいです。

“信用持ち”を育むためには、居心地のいい雰囲気が大切

──未来のことを質問しづらい流れではあるのですが、ぜひお聞きしたかったことなので言わせてください。QUESTIONから今後、京都のまち・社会にどんな動きが生まれていくとお考えですか?

榊田:それも、わかんないですね。ただ、ここが京都の中心だとか、QUESTIONに行けば何でもあるっていうような存在にはなりたくないんです。ここは人がたまたま交差する場で、色んなものを詰め込んでいくような発想はありません。

今、私たちが見ている御池通と河原町通の大きな交差点にも、たくさんの人が行き交っています。さっき、窓の外を眺めながら、彼・彼女らの人生を想像していたんですけどね。あの人たちは交差するだけで、交流しません。でも、QUESTIONは交差した人たちが交流できる場になるんだろうなと、その様子を想像していました。

多くの人が、このビルは金融機関らしくないところが魅力的だと言ってくださいます。集まる人たちがお金持ちになるのではなく、“信用持ち”になれる空間を作っていきたいですね。そのためには、雰囲気がすごく大事だと思うんです。目には見えないし、測れないけど、感覚的なものが。思いを持った人たちがゆるやかにつながって、お互いに刺激し合える。そういう居心地のよさを大切にしたいですね。

(後編へ続く)

NPO法人グローカル人材開発センター http://glocalcenter.jp/
株式会社ツナグム https://tunagum.com/

聞き手:津田 郁太(QUESTION副館長) 文:柴田 明 写真:冨田 知宏(京都信用金庫)

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