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QUESTION TALK vol.14『門前メシ2.0 〜食がつなぐお寺と地域〜』を開催しました!
今回のトークテーマは「お寺と食」。
南禅寺の湯豆腐や、今宮神社のあぶり餅、下鴨神社のみたらし団子など「神社仏閣」と「食べもの」の関係には切っても切れないものがあります。そこに「食べもの」があることで、お寺をもっと身近に感じたり、お寺に足を運んだりすることもあるかもしれません。
令和から始まる門前メシとは?
門前メシというと、古くから伝わってきた伝統のあるものというイメージを持たれる方が多いと思いますが、「令和というこの時代から始められる”新しい門前飯のかたち”があるとしたら、どんなものを作れるだろう?」という問いから今回、
街に残していきたい喫茶店を若い世代へ受け継ぐ活動に取り組み、現在「喫茶セブン」の跡地にオープンした「喫茶マドラグ」を営む山崎 三四郎裕崇さんと、お寺をコワーキングスペースとして開放するなどこれからのお寺の形を模索している明覺寺 住職の柱本 惇さん(通称:ハッピーさん)にご登壇していただきました!
オンライン配信の会場はQUESTION8階のコミュニティキッチン「DAIDOKORO」。カウンターに座り、おしゃれな雰囲気で対談いただきました。
食のプロである三四郎さんと、お寺のプロであるハッピーさんがそれぞれの視点から、「門前メシ」について喋り倒しました。 面白い話ばかりでしたが、今回はハイライトとなった問いをいくつかお届けします。
Q1. 一見すると全然違う「お寺」と「喫茶」地域コミュニティにおける共通点とは?
お寺と喫茶店、一見なんの繋がりもないように見えますが、お二人にお話しいただくと、意外な共通点が……
三四郎さん
「喫茶店として、街の生活の中継をするような、止まり木みたいな存在でありたいと考えています。そう考えた時に、元々お寺って街のいろんなよろず事の相談や対応をできる場所ですよね。
それこそ市民の止まり木だなと思い、喫茶店との親和性を感じています」
ハッピーさん
「お寺は皆さんにとって非日常的な場所、少し日常から離れたところという印象があるんじゃないでしょうか? そういう意味では喫茶店と似ているなと感じました。職場のしんどいことをちょっとお寺に置いて家庭へ帰っていただけるような、家庭でもない職場や学校でもない第三の場所になりたいと思っています」
どちらも、“地域の人々が一休みできる場所” である。そんな風に考えることもできるかもしれません。お寺や喫茶店が担っている役割って、わたしたちが思うよりたくさんありそうです。
Q2. コミュニティにおける「食」の可能性とは?
「お寺で食っていうと精進料理を思い浮かべる方が多いかなと思います」
ハッピーさんの一声から話は「食」の話題へ。
ハッピーさん
「あまり知られていませんが、お寺では、お斎(おとき)という伝統的な食事の文化があります。お彼岸やお盆にみんなで集まり、お経を上げて法話を聞いた後する食事のことで、地域やお寺ごとに出るものが違うんです。同じ釜の飯を食うとはよく言ったもので、これはまさに食が人を繋いでいる文化ですね」
一方で、お店やレシピの継承に取り組んでいる三四郎さんからは、別の視点の話が。
三四郎さん
「僕のお店には、以前の常連さんも来てくださります。最初は、昔のマスターの味がどうだったか聞いてコーヒーを淹れていたんですが、『なんか違う』と言われるので、全然違うブレンドを出してみたんですよ。そしたら、それを飲んで『これやこれや!』と言われて(笑)この人たち実は味なんか覚えてないな、と思ったんですね。 お客さんが求めてるのは『あの味』じゃなくて、ここで過ごす “時間” なんだな、ということに気付きました」
「何かを食べる場所」というのは、私たちの生活にとってすごく大切なものだと感じられるエピソードです。
Q3. これからの時代の新しい門前飯とは?
ついに話題は「新しい門前メシ」へ。
三四郎さん
「やはり『観光』と『グルメ』には、深いつながりがあります。何百年も続いている、超メジャーな今あるものだけじゃなくて 僕らの時代から新しいものを作りたいなと思いますね。お寺に『ここ、余ってるんです』って場所があれば、お寺の成り立ちからちゃんと考えながら一緒に何か作りませんか!」
ハッピーさん
「昔はお寺のある場所に町ができたんですよね。お寺を中心に新しいものを生み出すという発想はまさにその通りかなと思います」
田村さん
「空いた土地にお寺が軸となって人を呼び込み始めたら、それって時代がもう一度回ってきた感じがするな、とすごく思いました」
三四郎さん
「喫茶業もそうですけど、僕はあくまで中継ぎやと思ってます。次の人にバトンを渡してこそお役御免やと思ってますので……。お寺の住職も同じですよね。こういう新しい試みも自分の代だけで終わるようなことではいけないと思うので、やはり深いところの問題は考え抜いてやる必要があると思います」
いかがでしたでしょうか?
「門前メシ」をきっかけに、喫茶店とお寺の意外な親和性や新たな可能性についてお話していただきました。
このトークを機に、「じゃあうちの場所使ってください」という方がいらっしゃいましたら、QUESTIONにご連絡お待ちしております!!
さて、QUESTION8階「DAIDOKORO」にて 京都の人気店が考える“未来の大衆食” を日替わりで提供する「未来の大衆食フェス」が行われています!今回ご登壇いただいた三四郎さんの「喫茶マドラグ」には、各世代のニッチで懐かしい洋食をお子様ランチ風に提供していただきます!
イベントの詳細は下記ホームページをご覧ください。
「未来の大衆食フェス」
2022年1月24日(月)〜29日(金)・1月31日(月)〜2月5日(金)
https://taishushoku.qfes.jp/
次回のQUESTION TALKは「愛」がテーマです。
2月はバレンタインデーもあるので、ピッタリですね。お楽しみに!
ライター/小林 夏凜