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QUESTIONに関わる企業や個人にスポットを当ててご紹介する連載「Qパートナー紹介」。
“問いの交差点”QUESTIONに相談したい「問い」やQUESTIONに集う人々と一緒に考えていきたい「問い」について紹介します。
第9回は、合同会社カーニバルライフの山下比佐暢さんと山本恵果さんです。
山下比佐暢さん
合同会社カーニバルライフ 代表1977年大阪府生まれ。大阪府立大学大学院修了後、京都市役所に入庁し、市役所内の組織改革・労務管理、市民と行政との協働促進、若者や市民活動の支援などを担当。社会活動に取り組む人々と関わる中で、「人が自分の価値観に沿って行動するためのサポートをしたい」と決意し、2019年4月に合同会社カーニバルライフを創業。
ベンチャー企業から上場企業まで、コーチングを基軸にした対話プログラムを提供するとともに、潜在能力を発揮するためのパーソナルコーチングを行い、経営者が迷いなく経営できるお手伝いをしている。
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山本恵果さん
合同会社カーニバルライフ 副代表1979年京都市生まれ。京都大学卒業後、京都市役所に入庁。職場の関係性や働く人のモチベーションが業務の質に影響を与えることを体感し、コーチングを学び始め、2020年4月に合同会社カーニバルライフに参画。
人が生きる目的や組織が目指す方向を見つけるためには、人も組織も「現在の姿を知る」ことが必要であるとして、「自分を知る」ためのサポートを行っている。
公務員の働きがいを考える勉強会「モテる公務員講座」主宰。
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誰もが主役になれる社会を創る
ーーもともと行政で働いておられましたが、なぜ独立したのですか?
山下:当時、頑張って仕事をしているという自負がある反面、組織の一員として機械のようにやるべきことをやれば良いと思っている自分もいました。そんな時にNPOの人がやるワークショップにたまたま参加したんですね。そこでやりたいことを仕事にしている人たちの目の輝きを見て、このままではまずいと思ったんです。
その後、市民活動の進め方の講座の中で「コーチング」に出会いました。私がコーチングをした人が「自分はこんなことをやっていきたいです」とクリアに語るようになった姿を見たときに、これを仕事にしたいという、自分自身の「やりたい」が生まれたんです。それから2年ほど役所と両立しながら「コーチング」の資格を取り独立しました。
山本:もともと彼とは役所の同僚で、10年ぐらい前の山下さんはちょっと嫌な人だったんですよ(笑)。彼を見ていると人って本当に変わることができるんだと思います。本当にコーチングに出会って変わりましたね。
山下:もともと優しい人間だと自分では思ってるんですが(笑)。
忙しかった時に、与えられた役割によって本来の自分と役所職員としての自分の区別がつかなくなっていました。例えば、「自分は京都市役所のこういう人なんです」と役職とか肩書で自分を作って、それが自分になってしまう。僕はそんな感じでした。
ーー創業から1年後、山本さんも参画されたんですね。
山本:はい。私は役所の中でも外部の人と接することがよくあって、外部の人はみんなイキイキと楽しそうにしているなと感じていました。だから、わたしたち職員ももっと楽しく働くためにはどうしたらいいか考える勉強会をやろうと思って「モテる公務員講座」というのを当時役所で一緒に働いていた山下さんや友人たちと始めたんです。
「他人を幸福にすることで自分に起こる諸現象*」=「モテる」と定義しているんですけれど、行政の仕事は「モテる仕事だ」と思います。
その勉強会で山下さんのコーチングを受けたことをきっかけに、私もコーチングを学ぼうと思いました。役所を中から変えるというのを考えて勉強していましたが、組織全体を中から変えていくことって難しいなと思って、外からプロとして関わる事に決めました。
もともとカーニバルライフを立ち上げたときのコンセプトを一緒に考えていたので、1年後に一緒になった感じです。
*谷亮治「モテるまちづくり:まちづくりに疲れた人へ。」2014,まち飯叢書
自分がどんな感情をもって何を大事にしているのか知ること
ーーお仕事をする上でお二人の役目ってなんだと考えますか?
山下:「本音を吐き出すことができる対話の場」を作ることですかね。思っていることを発言したらダメだと思い込んでいる人は多いですが、他の誰かも思っている可能性はあると思うんです。あなたの発言は全体の声なんですっていうのを知ってもらうこと。
山本:ただ、発言することは勇気がいることで、背中を押すことが必要です。思っていることを言っても誰もあなたのことを責めないし、本当はその勇気ある声が大事で、受け止める力が組織にはあります。自分のふとした声によって組織が変わったりするケースがあるので、小さな声を大切にする組織や個人には力があり、自分たちで前に進めることを信じることがとても大切です。
山本:コミュニケーションって、わたしたちが生まれた瞬間からしているはずなんですけど、誰かの意見を引き出すためのコミュニケーションスキルを学んできてないんですね。コーチングをする理由はそこにあります。
想いはあるけどやり方が分からない。伝えるすべが分からない。勿体無いなと思っていて。
ーー今すぐ意識できることって何かありますか?
山下:個人も組織も共通しているんですけど、まず自分のことを知ることです。本当に自分がどんな感情をもって何を大事にしているのか、考える機会をつくることです。
「本当は何をしたいの?」と自分自身に問うことが大切です。それで転職する人もいるかもしれませんが、今の職場でできることがあるということに気づく人が多いです。
山本:やっぱり自分が何を大切にしているのか価値観を知ることは大事ですね。上司から言われたからといって、「やりたくないけどやる」だけだと、どういう工夫ができるのかなんて考えなくなってしまうんです。
そうすると失敗をした時に「上に言われたから」と無責任な対応になってしまう。
山下:自分の価値観が分かれば決断もできるようになります。組織で働いている以上、100%納得できる仕事だけじゃないです。でも価値観が分かっていれば、やらない選択肢を取れるのかもしれないし、やるにしても自分の価値観とは違うけれど、少なくとも組織の一員としてこれだけは大事にしていこうという決断を持ってやっていくことができると思うんです。
働いている人が幸せじゃないと大きなインパクトを出せない
ーーそんなお二人はお仕事または生活での「問い」はありますか?
山下:自分のことも他人のことも機械や道具のようにみる人って結構多いんですね。部下がどう思っているか気にせずに「やっといて」って言ってる瞬間は道具としてみていて。
そうでない在り方とかそうでない組織形態ってきっとあるはずなんです。人をきちんと人として扱う・扱われることは、最終的には幸福感につながると思い探求しています。
山本:「人が人生で果たすべき役目とは何か」を問い続けるっていうのが、私の人生の役目なのかなと先日気づいて、「これだ!」って思いましたね。人は役割を果たすことが根源的なエネルギーになると思うんです。自分には役目があると動き出せる。それは組織の中でもですし、社会に対しても。みんなの役目を追求していきたいです。
ーー確かに仕事でも生活でも自分に役割があって、それが達成できたときの幸福感ってありますよね。
QUESTIONで一緒にできること、今後期待すること、役目はありますか?
山本:京都ってコーチングや組織開発の思想ってまだまだ弱いと思うんです。人間関係や人材育成で困っている企業に選択肢の一つとして知ってもらえたら良いなと思っています。私たちにお仕事が入るか入らないかはさておき、少し話すだけでもお役にたてることがあるのであればお繋ぎいただけたら嬉しいなと思います。
山下:会社の経営理念によく「幸せ」という言葉を使うところがありますが、まず「働いている人が幸せですか?」「一番身近な人に理念を体現させてないのに外向けにどう体現するの?」って疑問があって。経営者は誰もが共通に抱えている悩みだと思うんです。QUESTIONに関わる企業さんでも働いている人が幸せじゃないと大きなインパクトを出せないし、そこのお手伝いが一緒にできたらなと思います。
山本:今は組織をメインに仕事をしてますが、地域での活動もしていきたいと考えています。QUESTIONのみなさんは基本、NOって言わないじゃないですか。「良いですね!」しか聞こえてこないしそのスタンスめっちゃ良いなと思っていて。受けられた相談をどんどん私たちのようなアソシエイトパートナーに繋いでいただいて、相談しに来られた方もQUESTIONなら何とかしてくれはる!と思ってほしいですよね。
(取材・文:大隅 美沙)
<パートナー概要>
組織名:合同会社カーニバルライフ
Webサイト:https://carnivallife.jp/