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【前編】エシカルってなに?楽しく暮らしに取り入れる方法
欲しい「物」が何でも簡単に手に入る今、あなたにとって本当に大切なものは何ですか?
「物」でなくても構いません。
大切な人、好きな景色、受け継ぎたい文化。
それらを守るために必要とされている姿勢、それが「エシカル」です。
私たちが生きる地球は今、環境悪化やグローバルな社会格差など、さまざまな問題を抱えています。そのため人や社会、環境に配慮した行動が必要であり、そうした姿勢は一般的に「エシカル」と呼ばれています。
とは言え「エシカル」と聞いても「何となく難しそう」「自分ごととして考えられない」「具体的にどう行動すれば良いのか分からない」。そう思われている方、いらっしゃるのではないでしょうか。
かくいう私もその一人で、そもそも「エシカル」という言葉を知りませんでした。
そんな「エシカル」を知らない人に向けたイベント「How to be ethical -楽しいエシカルな暮らしのはじめ方-」。2021年4月5日~4月10日の6日間に亘って、エシカルな暮らしを楽しく考えるさまざまな企画がQUESTIONにて行われました。
この記事は前半3日間に参加した私が、このイベントを通じて「エシカル」を学び、知り、体験したことをレポート記事としてまとめたものです。
たった3日間で感じたことが沢山あります。 「エシカル」を難しく考えず、ゆるっと読んでいただければ幸いです。
エシカルなまち“亀岡”から学ぶ
イベントでは、エシカルに先進的なまちとして、京都府の亀岡市が多く取り上げられていました。なぜ亀岡が「エシカル」なのでしょうか。
1つ目に、日本初のプラスチック製レジ袋禁止条例(亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例)が施行されたことにあります。それはつまり、お金を払ってもレジ袋がもらえないということ。そして、代わりとなる紙袋や生分解性袋の無償配布も禁止されたのです。
はじまりは、保津川の渓谷に漂着する大量のプラスチックごみでした。
「美しい渓谷を守るため」「川の先にある海のため」。そうした想いではじめられたのが、清掃活動です。さらに次なる展開として、プロジェクトが誕生。地域ぐるみの活動にすべく議論の場が設けられました。
そして10年以上の継続的な取り組みの結果、住民と行政が手を取り合い、条例が成立したのです。
レジ袋があって当たり前の日本。「プラスチックごみが多いから、レジ袋を禁止しよう!」なんて簡単なことではありません。住民の意識と覚悟があってこそ実現できたことです。
2つ目に、亀岡では人と自然がともに生きているということ。
「かめおか霧の芸術祭」をご存じでしょうか?
ここでいう「芸術」とは、人の手が加わった美しい畑。季節ごとにまちを彩る花々。激流で舟を操れる能力。このような、生命や魂をより一層輝かす「技術」を指します。
さらに大切にされているのは、それらが未来に残ること。
想いと想いが時間をかけて形になり、受け継がれていくような、未知数の芸術祭なのです。
最後に、亀岡が「エシカル」な理由は「人」にあります。
亀岡の環境を大事にする心。
日本のどの地域にもないルールを作り出す団結力。
人と人が繋がりやすい地域性。
そんな風土や文化を守り続けていこうとする姿勢。
映画「かめじん」を観て、亀岡は「エシカル」という言葉が飛び交う前から「エシカル」なまちだったのだと思いました。
生ごみを捨てない暮らし
家庭で出た生ごみに「捨てる」以外の選択肢があることをご存じでしょうか?
それが「コンポスト」。「堆肥」という意味です。コンポストは、生ごみや落ち葉などの有機物を、微生物の働きで発酵・分解させて作ります。
コンポストの作り方は色々ありますが、今回紹介されていたのは「LFCコンポスト」。
バックと基材がセットになっています。生ごみは可能性のある資源。バックの中で、基材と生ごみをかき混ぜるだけで、堆肥を作ることができます。
作った堆肥は、家庭菜園の栄養素になります。生ごみが土に還り、次の野菜を安全に育てられるという身体に優しい循環が生まれるわけです。また、ごみが減ることでレジ袋を節約できるというメリットもあります。
なかなか挑戦しにくいと思われがちですが、初心者でも始めやすい方法があります。おうち時間が増えた今、家の庭やベランダで始めてみるのも良いかもしれません。
自分に優しく、地球が喜ぶスクラブ作り
自分の肌を整え、心を癒すためにも使うスキンケア用品。
あなたは、何を基準に選んでいますか?
今回は、自分の肌に耳を傾ける「スクラブ作り」を体験しました。
驚くことに、ここにあるスクラブの原料は「食べられるもの」。
まるで料理をするように、「乾燥肌だから保湿できる蜂蜜を」「角質を落としたいからコーヒーを」と次々に瓶に入れていきます。計らずに、大体の目安で。
あとは原料をよくかき混ぜて完成!
最後に、作ったばかりのスクラブを手で試しました。スクラブの成分を待ち望んでいたかのように、肌にしっとり馴染み、ものの5分で驚くほどにトーンも肌質も改善されました。
さらに、自然なもので作るスクラブは水を浄化するので、洗い流した後も水やバクテリアが喜ぶとのこと。
単純な言葉ですが、初めて「エシカル」を楽しく感じました。「これなら手軽にできる」と。
自分の肌を美しく磨くことが地球を変えることに繋がるとは。自分のためにも、地球のためにも、商品の選び方について改めて考えようと思いました。
「エシカル」は「知る」ことから始まる
エシカルは本当に概念が広い!
でも、だからこそ、自分にできることから始められると思います。
結局のところ、エシカルは「知る」ところが第一歩。私はエシカルウィークに参加した3日間のその後も、ずっとエシカルについて考えています。
家族と環境について話し、地域の川で清掃活動が行われていることを知りました。友達が“長く着られるか”という基準で服を選んでいることを知りました。そして何よりも、街中やSNSで「エシカル」が目に留まるようになりました。
「エシカル」は難しくありません。知って、興味のあることを調べ、できることをすれば良い。それが、自分の大切なものを守ることに繋がるのです。
この記事を読んでいるあなたは、もう一歩を踏み出しています。これを機に、あなたが自分ごととして考えられる「エシカル」を見つけられますように。
また次のエシカルイベントでお会いしましょう。
ライター / 池田あかね
▶︎イベント概要:https://peraichi.com/landing_pages/view/ethicalweek#section-56
▶︎私が参加したイベント一覧