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ファミリーワークで、ビジネスをRe-designする|ボーダレス・ジャパン×ヒューマンフォーラム×ミンナソラノシタ×taliki×京都信用金庫

QUESTION Nightは、様々な分野で問いに向き合う人たちをお招きするトークイベントです。記念すべき第1回目のテーマは、「ソーシャルビジネスを通じて描かれる世界観」。業界の最前線を走る個性派プレーヤーにお集まりいただき、ソーシャルビジネスの定義や、今まさに直面している困りごとについて語り合いました。互いに認め合い、協力し合う空気感がとても心地よかった時間です。それでは、彼らが見ている世界を一緒に覗いていきましょう。

[登壇者]
株式会社taliki 代表取締役 中村 多伽さん(モデレーター)
株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長 田口 一成さん
株式会社ヒューマンフォーラム 代表取締役社長 岩崎 仁志さん
ミンナソラノシタ 代表 林 リエさん
京都信用金庫 理事長 榊田 隆之
 

お互いの活動を褒め合う他己紹介からスタート

──今日は自由人4名をお招きして、ソーシャルビジネスをテーマにお話ししていきます。早速それぞれのご紹介をしたいのですが、榊田さんが「普通の自己紹介はおもしろくない」と(笑)。なので、他己紹介でお願いできますでしょうか。

岩崎:では、僕からはボーダレス・ジャパンの田口さんをご紹介させていただきます。僕は田口さんのファンでして、何度か講演会にも足を運んでいます。その中で、「一人ではとても起業しないような人が、安心安全に起業できる社会をつくりたい」という言葉が心に残っています。まさに「僕がやりたいことかもしれない」って勝手に共感しているんですよ。田口さんは、自分達の事業がどれだけ大きなインパクトを与えるか、その数字にコミットしています。だからこそ、ソーシャルビジネスという難しい分野で、会社を成長させていく強さがあるのだと感じています。

田口:ありがとうございます。僕は、林リエさんの紹介を。ボーダレス・ジャパンは、社会課題を解決する社会起業家を育成する「ボーダレスアカデミー」を開催しています。その3期生として入ってこられたのが、リエさんです。オンライン開催でしたが、積極的に質問するし、課題にも一生懸命で。個人的にも「ぜひお手伝いしたい」と思い、リエさんが立ち上げたミンナソラノシタの顧問をさせていただいています。

:みなさん、はじめまして。私は榊田さんをご紹介いたします。ミンナソラノシタは、もともと向日市のママ達がボランティアで始めた活動で、京都信用金庫さんにすごくお世話になっているんですね。お金を借りないので京信さんにはなんのメリットもないのに、熱心に耳を傾けてくださって。一緒にチャリティコンサートも開催させていただき、榊田さんも駆けつけてくれました。この度もQUESTIONという場所を作られて、素敵な発想をお持ちの方だなと尊敬しています。

榊田:すごくチャーミングで、いつも100年先を考えているリエさんを見ていると、応援したくなりますよね。さて、私は岩崎さんの紹介です。岩崎さんは古着屋の「SPINNS」などを全国展開するヒューマンフォーラムの社長さん。創業者である会長の代から25年に渡ってお付き合いさせていただき、会社がソーシャルに変わっていく姿を見てきました。岩崎さんも会長の出路さんも、変な人(笑)。非常識だし、世の中の逆を見ているような人たちなのですが、なんか面白くて魅力的なんですよね。

榊田:モデレーターの中村さんについてもお話しすると、talikiは創業後の会社だけでなく、リスクをとって起業に挑戦する人も応援する、社会起業家支援の会社です。我々も10年以上、社会課題を解決しようとするスタートアップ企業を応援してきましたが、創業を志す方がどこにいるのかは把握しきれていません。talikiと京都信用金庫が組んだら、世の中を変えられるんじゃないかと可能性を感じています。

ソーシャルビジネスとは、ビジネス手法をRe-designすること

──ここからは、「そもそもソーシャルビジネスはどうやって成り立っているのか」について話していきたいと思います。岩崎さんは先ほど、「難しい分野」だとおっしゃっていましたが、どういうところに難しさを感じていますか?

岩崎:ソーシャルビジネスについては「ちょっと自信がないです」というのが会社としての一言目の答えです。もともと古着屋さんなので、もっとリユース・リサイクルの方向に舵を切りたいのですが、古着販売はランニングコストが高くつくので、売上をキープしながら新しいことにチャレンジするのがなかなか難しいんです……。変わりたい想いだけが先行して、実際には動けないもどかしさを感じています。

田口:よく「社会貢献とビジネスをどう両立しますか?」と聞かれるんですけど、僕はその2つは両輪ではないと思うんです。社会貢献は目的で、利益を出すことは大人の活動としての「けじめ」。ソーシャルビジネスというのは、ビジネスのやり方をRe-designすることだと考えています。効率だけを追求すると、障がいのある人や子どもを預けられない人は、働き手の候補から外れていきます。そういう人たちが、社会課題として取り残されていく。そこを助成金でカバーするのではなく、効率以外の価値を含めたビジネスに設計し直すことが大事なんです。

:生活者視点でお話させていただくと、先日あるお店でダウンジャケットを手に取る機会があったんですね。その際にお店の方から、羽根を3回むしられた鳥は死んでしまうという話を聞いて……。「命を奪ってまでダウンを買いたいだろうか?」と想像して、買うのをやめました。私のように、せっかくお金を使うならエシカルなものを買いたいと思う人は、増えているように感じます。

──知識のある生活者が増えることで、事業者側も舵を切りやすくなるということですね。

岩崎:みなさんのお話を聞いて、イメージが湧いてきました。お客さんにエシカルな意識が広まるのを待つのではなく、僕たち自身がお客さんに背景や価値を伝えながら、商品を手にとってもらえる機会をつくっていきたいです。

求められるのは、「未認識」の課題や解決策を伝えていく役割

田口:事業領域がソーシャルビジネスかどうかは、関係ないんですよね。事業として、いかに良い社会づくりに貢献できるかという視点を持つことが大切だなと思って。そういう会社が増えると、良い生活者が増えて、良い社会ができていきます。社会課題の話をする時、「無関心」という言葉があります。でも僕は「無関心」ではなく「未認識」である場合がほとんどだと思っています。知った上で何もしないなら「無関心」で良いのですが、地球温暖化が危ないことはなんとなく知っているけれど、解決する手段を知らない人が多い。だから、学校や大人の役割は、知識を伝えていくことなんです。ヒューマンフォーラムさんは店舗を持っているので、「レシートを発行するのは正しい?」「商品を個包装する必要はある?」など、お客さんに気づきを与える機会を作れることが強みですよね。

──社会課題の解決に向けて、意識を変えることが必要になるケースは多いと私も思っています。一社でやるのは大変なので、複数社で、業界としてチャレンジできると心強いですね。

榊田:僕は2013年に、地域の未来をつくる人をみんなで育てたいと考えて、NPO法人グローカル人材開発センターを立ち上げました。ソーシャルなことに関心を持つためには、気づきやハッとする瞬間を五感で味わう体験が大事だと思って。QUESTIONのような場で人と人が出会い、先駆者の真似をしたり師匠を見つけたりしながら多くの人に気づきを得ていただき、世の中を変えていきたいと考えています。

──確かにその通りで、以前は私もそう思っていたんですけど…。結局、動機付けが足りない気がしていて。地球が危ないと言われても、多くの人はそんな先のことを考えて生きていないんです。だから、「QUESTIONって楽しいね」「SPINNSの服がかっこいい」と思ってもらうことが大事で、その先にエシカルや社会貢献があるプロセスを事業者が作り込んでいく必要があると思っています。

助け合いでミッションを達成する「ファミリーワーク」

──お客さんや社外の人に対してはメッセージを発信して巻き込んでいくとして、社内に対してはどういうことをされていますか?

田口:ボーダレス・ジャパンでは、家族のように助け合って仕事をする「ファミリーワーク」をキーワードにしています。友達ともチームとも違う、もうちょっと深い関係を大切にしているんですよね。

岩崎:家族と会社って似ていますね。子どもや新入社員の教育は、手間もお金も掛かるけど未来のために必要なこと。おじいちゃん・おばあちゃんや年配の社員は、年々できなくなることもあるけど、効率が悪いからって姥捨山に捨てにいくわけにはいかない。だから、今いる社員が年老いて事業と合わなくなった時に、既存のビジネスをRe-designすることが必要なんだろうなと。

田口:僕たちも、社員が65歳、70歳になった時のことを考え始めています。今のように働けなくなったら、全員65歳以上の会社を作ろうとか(笑)。おじいちゃん・おばあちゃんになっても自分達で稼げる仕事をつくることが、僕の次の役割ですね。「ファミリーワーク」という言葉には、事業や組織の枠組みを超えた助け合いをもたらすパワーを感じます。

:「ファミリーワーク」は、ミッションを成し遂げる仲間の意味合いが強い言葉ですよね。ボーダレス・ファミリーのみなさんはじめ、今まで関わってくださった人のおかげで活動を続けてこられたので、改めて感謝しています。

榊田:新規事業にも、現場の課題解決にも、コミュニケーションをとる会社であることが大切だと考え、京都信用金庫は「日本一コミュニケーションが豊かな会社」という目標を掲げています。良いことだけではなく、嫌なことも言い合える関係性こそが、田口さんの考える「ファミリーワーク」なんだと受け取りました。

──素晴らしい納まりですね(笑)みなさん、たっぷりお話を聞かせていただきありがとうございました!

株式会社taliki https://www.taliki.co.jp/
株式会社ボーダレス・ジャパン https://www.borderless-japan.com/
株式会社ヒューマンフォーラム https://www.humanforum.co.jp/
ミンナソラノシタ https://minasora.org/

モデレーター:中村 多伽さん 文・写真:北川 由依