「With QUESTION」 5周年 特別対談 06
東京から関西進出した企業と考える、全国のコミュニティマネージャーとつながる未来
コミュニティ・バンク京信(以下、京信)が運営する共創施設「QUESTION」。オープン5周年を迎え、「QUESTIONとは何か?」を改めて考える連載「With QUESTION」。
第6回目に登場するのは、株式会社ヒトカラメディアの影山直毅さんです。
ヒトカラメディアは、『「都市」も「地方」も「働く」も「暮らす」ももっとオモシロくできる!』をビジョンに掲げ、共創のためのオフィスづくりや開発支援、地域プロジェクトに取り組む企業。東京本社ながら、関西進出を機にQUESTIONに拠点を構えました。
QUESTIONに入居してから、どのような連携や仕事の広がりが生まれたのでしょうか。館長の平野哲広がお話を聞きました。
お話を伺った人
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影山 直毅さん 株式会社ヒトカラメディア, コミュニティサクセス事業部 マネージャー
京都市伏見区生まれ。ソフトバンクで法人営業・営業企画を経験後、不動産企業の新規事業チームで遊休不動産活用やコワーキングスペース事業の立ち上げ・運営に従事。2021年にヒトカラメディア入社。SYCL by KEIO、Tokyo Innovation Base、Glass Rockなどの立ち上げ・運営構築を担い、コミュニティマネージャーのチームを統括。現在は、施設間連携やプログラム連携の探索や、関西エリアでのパートナー開拓を推進中。
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平野 哲広 QUESTION 館長
大阪生まれ、京都育ち。2001年京都信用金庫に入庫。営業店と本部を経験し、2024年4月にQUESTION館長に就任。直前に在籍していた企業成長推進部では、部長として創業支援やビジネスマッチング、商談会の企画運営、クラウドファンディングの組成、補助金申請支援などの本業支援業務を統括。QUESTIONでは、いろんな方を巻き込みながら勉強会の開催やコミュニティ形成をしていきたい。伏見に住んでいるので、伏見のお酒が大好きです!
QUESTIONは渦の中心になる場所
平野 ヒトカラメディアの本社は東京ですよね。なぜ京都に拠点を構えることになったんでしょう?
影山 関西のデベロッパーや鉄道会社からのご相談が増えてきたことがきっかけです。関西拠点の話が出た頃、ちょうど僕の手が空いて余裕があったので、「それなら京都はどうですか?」と手を挙げました。僕は京都出身で、人とのご縁と土地勘があるので。
平野 QUESTIONはどのタイミングで知ってくださったんですか?
影山 2023年頃ですね。「京都移住計画」を運営するツナグムのタナカユウヤさんと出会い、QUESTIONを案内していただいたことがありました。僕自身、東京でコワーキングスペースやインキュベーション施設の企画運営をしているので、「地元にこんな面白い人が集まる場所があるんやな」と印象に残っていて。
だから「京都に拠点を置くなら絶対QUESTIONです」と会社にも言いました。QUESTIONを中心に動けばつながりができるだろうと思っていましたね。
平野 うれしいです。周りの方にも「京都に行ったらQUESTIONへ」とおすすめしてくださっていると聞きました。
影山 「京都でどこに行けばいいかわからなくて困っている人は、まずQUESTIONに行ったらいい」と言い回っています。とにかく出会いがたくさんあり、渦の中心になる場所なので、QUESTIONからいろいろ広げていけるといいんじゃないかな。とりあえずコミュニティマネージャーの皆さんとつながりまくったら、大体のことは解決します(笑)
平野 ありがとうございます。自分でつながりに行くのは気が引けてしまう人の背中を押すのがコミュニティマネージャーの仕事の一つなので、交流したいけど勇気が出ないという人にも来ていただけたらなと思います。
影山 あと、1階のカフェをうまく使えるといいですよね。自分の体感としては、18時頃から面白い人が現れることが多い気がします。2階と1階を行き来すると、自然と輪が広がっていくんじゃないかな。
平野 1階は用事がなくてもフラっと来られる場所なので、気軽に使っていただきたいですね。
QUESTIONは「事業」と「地域」の双方に手が伸ばせる
平野 影山さんは東京でさまざまなコワーキングスペースを見てきたと思います。QUESTIONにはどのような特徴がありますか?
影山 まず東京と京都の違いでいうと、東京都心の施設はスタートアップ支援やインキュベーション、アクセラレーションといった「入居者の事業を成長させる」という目的意識が強い傾向にあります。
一方、京都の場合は歴史ある土地柄もあって、どちらかというと「地域との共生」の意識が強いと感じます。施設を通して生み出したいアウトカムは明確に違いますね。
ただ、東京でも都心から離れるほど地域との共創を意識するプレイヤーが増えてきて、例えばヒトカラメディアと京王電鉄が一緒に運営している下北沢のワークプレイス「SYCL by KEIO」は、漂う空気が京都と近い気がします。
そしてQUESTIONの場合は、地域共生の意識がありつつも、京信が運営していることもあって事業目線もある。ビジネスと地域と、双方に手が伸ばせる感覚があります。
平野 我々は地域をベースとした信用金庫であり、地域が良くならなければ我々も成長できません。だから事業と地域の両輪で考える必要があります。その分、あらゆることに興味を持って「一緒に何かできないか」を考えられるのは、QUESTIONの強み。実はすごく良い立ち位置にいると思います
影山 何においても「地域」という文脈があるのが特徴ですよね。
平野 そうですね。地域課題は時間がかかるものも多いですから、QUESTIONにはだいぶ余白があると思います。実際に「一旦温めましょうか」となることもありますし、その余白から新しいアイデアや人とのつながりが生まれることもありますね。
影山 ここに来ると、いい意味で隙が作れる気がしていて。僕は月1回ほど東京と京都を行き来していますが、東京の都心部の施設では成長スイッチを強制的にオンにされ続けているような感覚になるんですよ。
一方、QUESTIONではニュートラルな状態でいられるというか。オンにするときは2階のコワーキングスペースでガッと仕事をして、オフにしたくなったら1階のカフェでコーヒーを飲むといったように、オン・オフのどちらにもいけるなと思います。
それができるのは、フロアの構成や館内のデザイン、コミュニティマネージャーさんの気配りやコミュニケーションの仕方など、ニュートラルでいられる工夫があるからなんでしょうね。QUESTIONならではで、めちゃめちゃいいところだなと思います。
平野 確かに、無理やり仕事スイッチを押しに行くようなことはしないですね。仕事の話をして、相手のスイッチが入らなければニュートラルに戻すことを自然としているかもしれません。
QUESTIONと一緒に「妄想会議」をしたい
平野 影山さんがQUESTIONに来るようになって約2年がたちます。QUESTIONをきっかけに、どのような出会いや出来事が生まれましたか?
影山 QUESTIONに視察に来た人たちとの出会いがありました。東京のお客さんとQUESTIONで巡り合うこともあれば、ありがたいことにコミュニティマネージャーさんから東京の鉄道会社やデベロッパーの方をご紹介いただくこともあって。
後日、東京でお会いしてディスカッションにつながったことも3~4回ありましたね。「QUESTIONからの紹介なら話をしてみよう」と相手が思ってくださっているからこそなので、感謝しています。
平野 QUESTIONのメンバーはヒトカラメディアさんのことも、影山さんのこともよく知っていて、自分のことのように話せますからね。「QUESTIONがそれだけ詳しく知っているなら」と信頼していただけているのだと思います。
影山 あと、ツナグムさんが受託した京都市の「京都のビジネス環境魅力発信業務」のパートナーとしてQUESTIONさんも関わっていると思いますが、ヒトカラメディアもパートナーとして協業しました。それが2025年度に動いた具体的なプロジェクトですね。2025年11月末には渋谷で行ったイベント「京都はじめるフェス in SHIBUYA」に登壇する機会もいただきました。
平野 今後やってみたいことはありますか?
影山 ぜひQUESTIONと一緒に「妄想会議」をやりたいですね。 僕らが東京・下北沢で京王電鉄さんと一緒に開催している「この街でこんなことをしてみたい」という妄想を起点に繋がりをつくるワークショップなんですけど、京都を舞台に、QUESTIONでやったらどうなるんだろうっていうワクワク感があります。
平野 ぜひやりたいです。実はQUESTIONの5周年企画の一環として、「2050年までにどんなまちにしたいか」という意見をQUESITON6階の河原町支店で地域の皆さんから集めているんですよ。それを「妄想」として問いかけた時に、固定観念から外れた自由な発想が出てくるんじゃないかという期待があります。
地域を越えた共創ネットワークの可能性
影山 他に、当社では東京都のアトツギ支援事業をデロイトトーマツと一緒に受託し、事業承継後の新規事業創出を支援するプログラムに関わっています。東京都の事業ですが、対象は全国のアトツギの人たちなので、京都のアトツギ領域にも携わっていきたいなと思っています。
平野 京信でも「事業アトツギ支援部」を作って、事業者の歴史や想いを含めた事業承継のサポートをしています。何か一緒にできたらいいですね。
QUESTIONは京都や関西に限らず、北海道から沖縄まで全国とつながれるのも強みなので、地域を飛び越えてご一緒できることもありそうです。
影山 地域の事業承継問題と、そこを支える金融機関としての京信さん、場としてのQUESTION、地域を飛び越えた連携先として当社が運営するコミュニティと、それぞれが連動すると面白いことになりそうですね。
平野 全国のアトツギ支援をしているコミュニティがつながって、文化の違いや情報などをオープンにして掛け合わせることで、思いもよらない力が発揮できるんじゃないかっていう、大きな可能性を感じます。
地域に閉じず、「日本全国のコミュニティマネージャーの力を使って、相手に対してより良い提案をする」ことができると、とんでもないことが起こりそうだと妄想しました。
影山 僕自身は、京都と東京を行き来し始めて、だいぶ域外に自分を拡張させる力がついてきた気がします。こうやって皆さんと話すことを通じて、初めて自分の言葉で域外のことを語れるようになった。だからこそできるつなぎ方がある気がしています。
平野 オンラインでもつながれるけど、物理的に移動しないと得られないものもありますね。QUESTIONでたまたま居合わせた人たちの間でだけ交わされるコアな話もありますし。
影山 日中にQUESTION4階のイベントスペースでイベントをやって、1階で懇親会をすることがあるじゃないですか。懇親会の会場と一般のエリアがシームレスだから、緩やかに混ざって、懇親会の参加者とも仲良くなれる、みたいなことが結構あって。ああいうのはリアルな場ならではですよね。いい広げ方だなって思います。
平野 最後に、影山さんからQUESTIONへのリクエストはありますか?
影山 パッと思いつかないですが……強いて言なら、QUESTIONにいる人だけでなく、QUESTIONのパートナーの皆さんともつながれるとうれしいですね。
あとは、京信さんや京都市さん、周辺の企業さんなど、皆さんが持っている困り事がQUESTION内で可視化されると面白いなと思います。ボードに貼られている課題を見て、ここで出会った人同士でチームを組んで解決に取り組む、みたいな。
平野 「問い」はQUESTIONのキーワードの一つですし、いいかもしれないですね。まずは壁に問いを貼ることから始めたいと思います!

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