「With QUESTION」 5周年 特別対談 03
京都での出会いが、福井へと広がる。
QUESTIONが生んだつながりのかたち
コミュニティ・バンク京信が運営する共創施設、QUESTION。日々生まれる出会いや取組は、京都を越えて他府県にも広がっています。
オープンから5周年を迎える今、改めて「QUESTIONとは何か?」を、これまで関わってきた皆さんと共に考える連載「With QUESTION」。
連載3回目は、福井県若狭町の入江幸治さんに、現館長・平野哲広がお話を聞きました。2022年から2年間京都事務所に出向していた入江さんに、QUESTIONは何をもたらしたのでしょう?
お話を伺った人
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若狭町 税務住民課 主査 入江 幸治さん
2022年4月〜2024年3月まで福井県京都事務所に出向。その間、招待制交流会「イチカバチカ」を始め数々のイベントに参加するとともに、福井県としてQUESTIONの会場を借りてさまざまなイベントも開催した。京都↔︎福井の動きをつくり、QUESTIONでのイベントをきっかけに福井県を訪れ、就職が決まった学生もいる。
2024年4月から若狭町に戻りSDGs担当、2025年4月から若狭町 税務住民課。 -
QUESTION館長 平野 哲広
大阪生まれ、京都育ち。2001年京都信用金庫に入庫。営業店と本部を経験し、2024年4月にQUESTION館長に就任。コミュニティマネージャーとして金融の枠を飛び越え、様々な人や知識、知恵、情報と繋がり、人と人、事業と事業をつないでいる。伏見のお酒が好き。趣味はサッカー観戦とギターを演奏すること。
QUESTIONでの出会いが、今も続いている
平野 入江さんは2022年から2年間、京都にいらっしゃったんですよね。
入江 そうです。若狭市役所から福井県庁への出向中、京都事務所に行くことになり、京都に向けた福井県のPRや学生を中心としたUIターン、企業誘致などを行いました。
平野 QUESTIONのことは、どのように知ってくださったのでしょう?
入江 京都に特別なつながりがなく、知り合いに「人を紹介してほしい」とお願いする中で、当時京信人材バンク(現在はQUESTIONコミュニティマネージャー)で働いていた新田廉さんと出会ったのが最初のきっかけです。
新田さんが、当時QUESTIONの副館長だった川上哲典さんとチャットでつないでくださって。「実は今京都にいます」とお伝えしたところ、「今日QUESTIONでお会いしませんか?」とお誘いいただきました。
平野 新田も川上も、良い仕事をしていますね。QUESTIONで新たなつながりはできましたか?
入江 いろいろな出会いがありましたが、川上さんに声をかけていただいて参加した「イチカバチカ」が大きかったです。
平野 QUESTIONで毎月行っていた、招待制交流会ですね。異なる業種・立場の人が交わる場として、さまざまな出会いが生まれていました。
入江 まさにクリエイターをはじめさまざまな人が参加していて。「ここに集まる人たちと行政をつなげられたら何か仕事が生まれるんじゃないか」と思い、元々つながりがあった京都市役所をはじめ関西の行政関係者もお誘いしました。
平野 普段出会わないような人たちと接点を持てたんですね。
入江 特に、デジタルクリエーターの加々本裕樹さんにはすごくお世話になりました。加々本さんと私がお声がけした参加者が発起人となり、大阪でも「イチカバチカ」みたいなイベントを開催しようという話になって。
そこにも呼んでいただいたおかげで、京都や大阪の企業の方、フリーランスの方など、いろいろな方とお付き合いをさせていただくようになりました。今でも交流は続いていて、仕事や遊びで福井にも来てくださっています。
昨年は福井県若狭町で行った「SDGsウィーク」という1週間のイベント企画で、QUESTIONで繋がった方々に登壇もしてもらいました。
イベントをきっかけに、福井で就職した学生も
平野 QUESTIONで福井県のイベントを開催したこともありますよね。どのようなイベントだったのでしょう?
入江 移住者促進を目的に、福井県に興味のある方をお呼びすることが多かったですね。なかでも福井県と京都を結ぶチームと8階のコミュニティキッチンで、福井県の伝統産業や文化を体験しながら食も楽める「ふくいと(Fukui &)」というイベントを行いました。
そこでゲストとして登壇してくれた福井の猟師さんと、コミュニティキッチンを運営するQ’sの皆さんがつながって、Q’sの皆さんが福井にイノシシ狩りを見学しに来てくれたこともありました。その時にイノシシを一頭買っていただき、後日QUESTIONでイベントも行いましたね。
入江 あとは、QUESTIONでのイベントをきっかけに、福井でのIターン就職につながったこともありました。
福井県勝山市のLACORMEさんという、アパレル向けの縫製を行う企業の社長を「ふくいと(Fukui &)」のゲストとしてお呼びし、京都にお越しいただきました。QUESTIONの利用者がイベントに参加されたことをきっかけに、福井のLACORMEさんの本社に学生を連れて行ってくださり、仕事体験をしてもらったところ、就職が決まりました。
平野 すごいですね。就職を目的にイベントを実施したわけではなく、結果的にそうなったんですか?
入江 そうなんです。学生さんが関わりやすいのも、QUESTIONの良いところだなと思います。
こうして振り返ると、京信が運営する場所で福井県のイベントをさせていただくって、すごいことですね。懐が広いなと思います。
平野 大歓迎ですよ。むしろQUESTIONで起きたことが京都に収まらず、福井という別の県にまで拡大したことがQUESTIONらしいなと思っています。
入江 福井県としても、京都側にサポートがあるのはやはり大きくて。僕らだけで「福井県に来てください」と言ってもなかなか難しいですが、京都と福井の両輪で動けたからこそ、物事が動いたと思います。
QUESTIONは「子どもの頃に遊んでいた爆竹」
入江 QUESTIONでお会いする京信の皆さんは、「出会う人同士で化学反応が起きないかな」っていうワクワク感をお持ちになっている印象です
僕はQUESTIONの会員ではなかったけど、それでもウェルカムな雰囲気で、スタッフ全員が来た人たちを混ぜようとしているのを感じていました。
普通に考えたら本業の金融業の範囲外だと思うんですけど、それがすごいなと。
平野 「金融」という枠がないのがQUESTIONの良さだと思います。おっしゃる通り、人と人をつなぐことで起きる化学反応を楽しんでいるところもあり、それを感じていただけたのはうれしいですね。
入江 京都はスタートアップ企業が多く、金融機関が中小企業を支える取り組みをしているのは知っていましたけど、QUESTIONは異質だと思います。
普通なら稼働率や会員数をどう増やすか考えそうなものですけど、スタッフの皆さんはそういう感じでもないじゃないですか。経営的に成り立つのかな?って不思議に思っていました(笑)
平野 スタッフは10年後、20年後を意識しながら、「信用金庫としてやるべきこと」を考えているんだと思います。我々は地域と運命共同体ですから、地域が持続、成長しなければ成り立ちません。
収益を重視するのであれば別の動きもあるのでしょうけど、京信自体ノルマはないですし、QUESTIONには業務範囲の線引きもない。自由に、でも責任を持ちながら、中長期的な未来を地域の方々と一緒に考えられる場所であることに意味があると思っています。
入江 QUESTIONは包容力があって、京都の入り口としてすごく来やすい場所だと思います。「やりたいことあるなら応援するよ!」という雰囲気を感じました。
他のコワーキングスペースやコミュニティスペースと比べても、民間企業が自分たちで運営しているからか、明るさがある気がします。場所によっては内輪の雰囲気が強い施設もありましたが、QUESTIONは開けている感じがしますね。
平野 先ほどお会いした他のお客さまも、京信と他の金融機関の違いは「人」とおっしゃっていました。「自分のことをさらけ出してくれるよね」と。
言われてみれば僕自身、「出身地はどこで、家族が何人いて、趣味は何で……」みたいなことを、聞かれてもいないのにめっちゃ言っている(笑)
もしかしたらそのおかげで相手に人柄が伝わり、心理的なハードルを下げることにつながっているのかもしれないなと思いました。
平野 最後に改めて、入江さんにとってQUESTIONはどのような場所でしょう?
入江 僕の中では、子どもの頃に遊んでいた爆竹みたいなイメージです。温かく受け入れるだけでなく、自分の中の固定概念を外して、少しずつ枠を広げてくれる。そんな楽しい刺激が多い場所かなと思います。何かしたいと思っている方にはぜひ来てみていただきたいです。

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