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認知症の方への地域住民の暮らしのサポートとは?
QUESTION POSTに寄せられた【問い】
「認知症の方への地域住民の暮らしのサポートとは?」 「認知症当事者とともに認知症を学ぶプログラムとは?」 「ともに創る仕事とは?」 QUESTIONの会員より、このような問いがQUESTION POSTに投稿されました。
プロジェクトのスタート
早速、この問いを投稿してくださった司法書士の福村雄一さんに、問いについての経緯や今後のビジョンについてお話を伺いました。
認知症はいまや決して他人事ではない社会課題です。今後、認知症の地域住民はますます増加し、2025年には700万人に達するという予測も厚生労働省から公表されています。
しかし、認知症について学ぶことが目的化してしまった結果、典型的な事例や映像紹介のイメージが先行してしまっています。「認知症になると何もできなくなる」といった印象を持つ人が多くなり、「支援する人、される人」と区別して接することで、自己の価値観、認知症という怖い印象の中に当事者を当てはめてしまうことになりかねないことを福村さんは課題に感じておられました。
福村さんは、「認知症の人のために」から「認知症の人とともに」という新しい枠組みを企業と創ることができれば、認知症の当事者やその家族がその人らしさを追求できる地域ができ上がる可能性があるのではないかと考えておられ、「人を知り、その先にある認知症を知り、課題を知り、地域で解決する。この順番がとても大切だと感じています。」と、ご自身の想いを伝えてくださいました。
京都信用金庫は以前から行政と認知症に関する異業種連携協議会に参加しています。この問いをきっかけに改めて過ごしやすい社会について考えるべく、福村さんと一緒にプロジェクトに取り組むことにしました。
京都市長寿すこやかセンター・京都市との連携
福村さんの呼びかけにより、京都市長寿すこやかセンターの橋本千恵さんがプロジェクトに加わり、京都というこの場所から当事者の声を聞くことを目的としたイベントの開催の企画を開始しました。
また、京都市にも京都市の認知症啓発活動の一環として私たちのプロジェクトに参画していただけることになりました。
他にも福村さんや橋本さんの繋がりからたくさんの方が「私も協力したい」とプロジェクトチームにご参画くださり、イベント運営に携わってくださいました。
認知症当事者の声を届けるイベントの開催
2021年9月、QUESTIONで認知症について知っていただき、当事者の声を聞くオンラインイベント『丹野智文×下坂厚 Talk Session:認知症フォーラム 認知症とともに 〜認知症の人の「ために」から認知症の人と「ともに」〜』を開催しました。
「認知症」というフィルターを通して捉えられがちなのが「当事者」です。イベントの一番の目的は当事者の声を届けることでした。
そこで、メインスピーカーとして、若年性認知症と診断を受けた丹野智文さんと下坂厚さんのお二人に登壇いただきました。
イベントの反響はとても大きく、お二人のお話が聞きたいと400人以上のオンライン参加の申し込みがあり、たくさんの質問・感想が寄せられました。
お二人は、「してあげる、してもらう、と関係に上下をつけてしまった方が楽だけど、その楽な関係には落とし穴があって、決めつけてしまう、仕方ない、諦め、という罠に知らずしらずのうちに陥っているのではないか」「重度の認知症であってもコミュニケーションができないと決めつけるのではなく、できることを一緒に考えることが大事」とお話しくださいました。
お二人のお話には「希望」があり、多くの方に「支援する・されるではない、水平の関係性」の大切さが伝わったように思います。これを機に少しでも暮らしやすいまちづくりにみんなでつなげていきたい、また、そうでなければならないと感じられるイベントになりました。
マッチングカフェ
現在、京都信用金庫主催で認知症の方と地域の企業をつなぐマッチングカフェ@QUESTIONを継続的に開催しています。
1回目は認知症の当事者の方、支援者、企業、行政の方々に参加いただき、当事者の方々に「今後叶えたい夢」を自由に語っていただきました。
これからも当事者の直接の声を企業に届ける機会をつくり、寄せられた問いが少しでも地域の気づきに変わることを目指していきます。
このプロジェクトにかかわったコミュニティマネージャー
大隅 美沙