祇園 北川半兵衞 松尾 朋美さん:Qストーリー vol.6(後編)

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QUESTION コミュニティマネージャーの早川です。
今回ご紹介させていただく事例は、QUESTION会員である松尾朋美さんと共に取り組んだ販路開拓プロジェクトの事例です。
松尾さんは、『祇園 北川半兵衞』EC事業部法人担当として働いていらっしゃいます。『祇園 北川半兵衞』は創業160年を誇る老舗茶問屋『北川半兵衞商店』の高級ブランドとして最高級のお茶の魅力を伝えるため、2018年1月11日京都・祇園に京町家の日本茶カフェ「祇園 北川半兵衞 祇園本店」を、その後、国の重要文化財としても登録されている高島屋東別館「大阪なんば店」、2023年4月東京・丸ビルには初のギフト専門店「祇園 北川半兵衞 東京丸ビル店」を構えました。
松尾さんは「ペットボトルが重宝される近年、本物を味わう文化を伝えたい」「あわただしい近年、急須でお茶を飲むほっとした時間を作りたい」という想いで祇園北川半兵衞で活動されています。
「北川半兵衞」と聞くとあまり耳馴染みがないかもしれませんが、「北川半兵衞商店」は文久元年(1861年)に創業し、160年以上前より厳しい品質管理のもと、卸問屋として最高峰の茶を提供してきた茶問屋です。過去77回行われた全国茶品評会のうち「北川半兵衞商店」として11回、北川半兵衞商店の契約栽培農家も合わせると、 開催の半数を超える40回以上の最高賞を獲得しています。
卸問屋のため、これまでは一般のお客様に製品を直接提供することはほとんどありませんでした。
お客様をはじめとする各所から多くのご要望を受けて、「本物を味わう文化」をコンセプトに『祇園 北川半兵衞』をオープンさせました。築120余年の京町家で、ゆっくりじっくりと茶葉本来の味わいを体感していただける、同店ならではのお茶とお菓子を提供しています。「お客様に茶葉本来の味わいをゆっくりとじっくり体感していただくことで、『本物の味』を濃密にお楽しみいただけます。これからも日々お茶の美味しさを追求し『本物のお茶』を提供できるよう努めてまいります。至高のお茶のひとときをお楽しみいただきたい」と、松尾さん。
QUESTIONでは、松尾さんから「一度食べてみてください」と差し入れいただく商品や試作品について感想を共有し、商品の改良やアイデア出しのお手伝いを行ってきました。また、事業の話だけでなく、QUESTION会員向けに開催している老舗企業への工房見学のイベントや経営者が集まるイベントなどを通じて友達のように親しくさせていただいています。
日々関係性を積み重ねていく中で、あるとき松尾さんより早川に「ありがたいことに京都のお取引先さんや友人・知人から『この商品を買いたいんだけど』とご連絡いただくのですが、東京でしか買えません。京都では日本茶カフェしかなく、カフェにも販売用のお茶は置いているのですが、お菓子は買えないんです。京都では販路がなく良い場所を探してるんですが、京都でどこかいい場所知りませんか?」という相談が寄せられました。
この相談を受け、私たちはさっそく繋がりのある京都ポルタ様を松尾さんにご紹介しました。同社に出店先としてご提案いただいたのは、京都駅を訪れる人でにぎわう「おみやげ街道」。現地視察を通じてトラフィックや出店条件を確認した結果、インバウンド層だけでなく、修学旅行生や通勤帰りの顧客層が多いエリアであることがわかり、高価格帯だけでなく立地に適した顧客層に響く商品戦略を練り直す必要があると考えました。
そこで、既存の商品ラインナップをベースに、京都ポルタ向けの新商品を開発、もしくは既存商品のブラッシュアップを行う方針となりました。新商品の仕様や価格設定、さらには販促用のポップや販売スタッフの配置計画に至るまで、松尾さんと定期的に情報共有を行いながら詳細を詰めていきました。
京都ポルタ様とQUESTIONは「京都」に焦点を当て、同社の持つトラフィックと当金庫の地域事業者とのネットワークを相互に活かし、事業や地域の課題解決、地域の事業者の魅力発信を行っています。
京都ポルタ内での定期的な催事開催やQUESTIONが主催する事業者が集まる交流会など様々なイベントにご参加いただいています。
半年以上の時間をかけ準備が整い、出店にかかる審査を無事に通過した後、無事に2024年12月に、「おみやげ街道 亰店」で2週間の催事出店ができました。1日の入館者数が約10万人という立地の良さもあり、商品の魅力を多くの人々に伝えることができました。
結果として、2週間で350万円の売上を記録、1961名のお客様にご購入いただきました。売上は当然重要なポイントですが、京都初出店ということでとりわけ「ブランド認知の拡大」が大きな成果目標であり、「祇園 北川半兵衞」を広く周知する機会をご提供できたという点で、プロジェクトの成功を裏付ける結果となりました。
松尾さんが携わる美味しい「商品」と京都ポルタ様の持つ「立地」のポテンシャルを繋いだことで「売上」という結果を残せたプロジェクトとなりました。今後も商品開発や販路開拓、ブランディングなど会員や取引先の皆様の課題解決や成長を支援していきます。
松尾さんの次なるステップにおいても、新たな市場開拓や商品のブラッシュアップのお手伝いを少しでもできるよう引き続き伴走していきたいと考えています。
松尾 朋美さんからのメッセージ
「この度は、京都ポルタ様と繋いでいただきまして、誠にありがとうございます。ぶっちゃけ私は、家から近いコワーキングスペースというだけで、QUESTIONさんのことを知らず契約をさせていただきまして(笑)使用させていただいているうちに、QUESTIONさんが行われているイベントや催事などに興味を持つようになり、色々と参加させていただきましたよね。
QUESTIONさんで働いていらっしゃる方々にはいろいろとお繋ぎいただくことがあり、大変感謝しております。
特に早川さんには東京丸ビル店で初日2時間で完売したチョコレートをお渡ししたことで、「なにこれ、おいしすぎる!」とすごく気にかけていただきまして!それをきっかけに色々とご相談をさせていただいておりました。
ご相談をさせていただくたびに「本当に金融機関の方なのかな?」と思うほど早川さんが持っておられる知見には毎回驚きを隠せません。
私がポロっとご相談した一言を拾っていただき、アドバイスだけでなく繋げた上で、実施まで見届けていただける……そんな場所はQUESTIONさんしかないんじゃないですか?」
売上や集客の「結果」を求めるのは当然のことですが、QUESTIONとしての取組は、今回の事例のように「同じ視座でどの商品が売場に適しているか、どのように見せれば新しいお客さんに見てもらえるか、ブランドを棄損せずに認知を広めるには?」といった点を「時間をかけて対話を続け、一緒に考える」というプロセスが何においても重要であると考えています。
今後も地域課題や事業課題、様々な課題に向き合う中で、結果は当然として、プロセスも重視してQUESTIONだからできる課題解決に取り組んで行きたいと思います。
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