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QUESTION TALK vol.17「人が集まる場づくり〜京都と奈良の実践〜」を開催しました。
第17回目となるQUESTION TALKは「人が集まる場づくり〜京都と奈良の実践〜」をテーマにリアルとオンラインのハイブリッドで開催いたしました!
今回のテーマは「場づくり」。全国各地に様々なコミュニティスペースがありますが、ハード面としての「場所」となってしまっている施設も多いのではないでしょうか? そんな中「場」としての運営を目指し、実践されている方々をお招きしました。
奈良からは2015年から東吉野村を拠点に活動されているオフィスキャンプ東吉野の坂本大祐さん、奈良駅近くを拠点に活動されているJIRINの井上公平さん、BONCHIの中島章さんにお越しいただきました。
そして、京都からはOgyaa’s御池マネージャーの宇都宮沙織さん、QUESTIONより池内琴子が登壇しました。
まず最初は各施設の『立ち上げのきっかけ』をお話しいただきました。
坂本さん
「2015年に奈良県や東吉野村など行政と合同会社オフィスキャンプで立ち上げました。当時東吉野村は毎年人口減少が進んでおり、行政としても何か手を打たないといけないということがあったり、全国各地でも地方創生の動きが出てきた時で良いタイミングでした。」
井上さん
「日本の工業を元気にしたい、という想いから立ち上げました。ものづくりをする人がどんどん減っており、30年前に比べると働く人が30万から5万人になり、60代以上の方は7割を占めてます。一方、30代の方は5%程度となっており、業界全体を何とかするために始めました。」
宇都宮さん
「ツクリエという会社は元々東京で立ち上げましたが、日本どこに行っても起業ができる場所を増やしていこうという想いから関西では大阪と京都でも立ち上げました。」
続いて、『コロナ禍だからこそ「場づくり」で意識したことは何か』という池内の問いからクロストークが繰り広げられました。
中島さん
「コロナの感染者数が増えるとともにどうしても利用者は減ってしまうのでBONCHIに来てもらうことにこだわらないようにしています。例えば近くのゲストハウスやお寺、民家も利用してもらえるようにすることで、地域の空きスペースを有効活用しています。」
井上さん
「オープン前は地域の方々に来てもらうことをイメージしていましたが、月1で開催しているオンラインイベントに著名な方をお呼びすることで首都圏からも3割くらいの方が参加してくれています。その結果、関西に来た時にはJIRINを利用していただく、という当初は予想していなかった流れが生まれ、県外の方にも3割くらいご利用いただいています。」
坂本さん
「やっぱりそこに人がいることが重要で「場」は人がいてこそですし、そこにいる人の特徴が伝わった方が利用者は行きやすいと思います。今でこそリモートワークが定着していますが、私が立ち上げた当時は東吉野まで仕事を持ってきてくれる人はデザイン系の方だけでした。自分もデザイナーだったので、自分だったらこういう空間で働きたい、どうすれば働きたいと思ってもらえるか、という想いを持って創りました。」
宇都宮さん
「利用者の方がどんな人に出会いたいのか、最近困っていることはないですか、などとにかく話しかけるようにしています。意外に立ち話が重要でそこで課題を聞けたりします。最初は同業者だったら競合他社になるんじゃないか、ということも考えましたが、とにかくコミュニティを広げていくことを意識しています」
池内さん
「QUESTIONはこれといったターゲットを定めていません。創業支援にも焦点を当てることもありますし、中小企業が今抱えている悩みの解決へのサポートをしていくこともあります。また、営業店の場合、基本的にお客様の課題解決のために動くことが大半ですが、QUESTIONの場合は地域の課題にもパートナーの方々と一緒に解決に向けて動いています。」
その後、『「奈良と京都」お互いの特徴』の話に。
奈良の良さとして、京都に比べるとコミュニティスペースとしてのマーケットは小さいが、県内就業率が高いため、コミュニティの創出が生まれやすい地域であること、施設の近くには鹿が歩いていたり、世界遺産の森があるため、仕事をしながら非日常が味わえることなどが挙げられました。
一方、京都の良さとしては、伝統的な歴史ある企業もありながら大学の学生団体や学生発ベンチャー企業も生まれており、伝統と若いエネルギーが混在している地域であること、京都市内だけでもコワーキングスペースが30か所以上あり、コミュニティがたくさんあることなどが挙げられました。
最後に参加者さんから『現代における「場づくり」の重要性』について質問いただきました。
この質問に坂本さんはこのように答えてくださいました。
「場づくり」という言葉は1980年代から急に使われるようになったんです。なぜなら、それまでは意図せずそこに「場」があったから。ただ、どんどんと合理化が進み、スピードが上がった一方で偶然性が生み出されにくくなった。だからこそ自分は意図的に偶然を生み出している。
私にとってはこれこそが「場づくり」で一番大事にすべきポイントだと感じました。
参加者の方々も各施設の様々な工夫や登壇者の考えをお聞きし、良い時間になったのではないでしょうか?
次回のQUESTION TALKもぜひお楽しみください!
(文章・QUESTION 高木 祥亘)