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QUESTIONに関わる企業や個人にスポットを当ててご紹介する連載「Qパートナー紹介」。
“問いの交差点”QUESTIONに相談したい「問い」や、集う人々と一緒に考えていきたい「問い」について紹介します。
第6回は、株式会社 AFURIKA DOGSの代表取締役の中須俊治さんです。
中須 俊治さん
株式会社 AFURIKA DOGS 代表取締役。1990年京都生まれ。滋賀大学経済学部卒業。大学在学中に単身アフリカへ渡航し、ラジオ局のジャーナリストとして番組制作に携わる。大卒後、京都信用金庫に入社。嵐山地域で営業を担当した後、2018年に独立・起業。日本とトーゴ共和国を往復し「みんなが笑って過ごせる世界をつくる」ために、体験型のファッション事業やアフリカ進出をめざす人たちの伴走支援をしている。2020年には京都・西陣で初の常設店舗をオープン。アフリカ布や京友禅を使い、トーゴ出身の仕立て職人と一緒にオーダーメイドの服を仕立てる店舗を運営している。著書は『Go to Togo 一着の服を旅してつくる』(烽火書房)。#トーゴ #アフリカ #エウェ族 #西田さん #ドッジボール #元京信職員
一人ではできないことも仲間がいればできる
ーー現在につながっていると思われる、子どもの頃の出来事はありますか?
小学生の頃に友達としたドッジボールです。元々僕は引っ込み思案で中々友達ができなかったんですけど、4年生の時に周りより僕の投げる球のスピードが早いことに気づいて。そんな時に当時の6年生と休み時間の陣地取りを巡ってドッジボール対決を行うことになったんですよ。
対決までに1週間くらいあったんですけどサインを決めたり、相手のキーマンを倒す作戦を練ってみんなで放課後練習をしたんですね。
そして対決当日、実際6年生の球は速いけど、単調な攻撃ばっかりだったので、誰もアウトになることなく全滅させたんですよ。
ーーすごいですね(笑)
そこで一人ではできないこともチームだったら乗り越えられるかもしれない、ってことを学んだんですよ。
だから、本質的には子供の頃から変わってなくて。大きな足がすくんでしまうような課題を前にした時、僕ができないことは他の誰かが補ってくれたり、チームとしてならできるんじゃないかということを僕は経験することができて、そういった想いを今も大事にしています。
仕事ももっと人間らしさを持てるように変えていきたい
ーードッジボールでの経験が今の中須さんの原点になっているんですね。そうした経験も踏まえて、現在中須さんはどのような「問い」を持って活動しているのでしょうか?
「なぜ仕事は二進数で表現する必要があるのか」です。
京信で働いていた時から感じていたんですけど、仕事って二進数で表現することが多くて。例えば、儲かるか儲からないか、収益性があるのかないのか、市場に成長性があるのかないのかなど、数字に落とし込めるものに対して僕らは頼り切っているように思います。でも仕事って数字では言葉にできないことの方が多いと思っているんですよ。だって生活の中だと感情的にもなるし、お金とか関係なく誰かのために行動することだってあるし、時には恋だってするし。そういうのって数字では表現できないじゃないですか?だから精神的なことや文化的なことやもちろん経済的なことも含めて、そういったものがグラデーションとなって初めて生活があるはずなのに、仕事になったら経済的なウエイトがとても大きくなってしまうことに僕は疑問を持っていて、そこを限りなく人間らしい生活にしたいなという想いがずっとありますね。
ーーそうした想いを持つようになったのは、元担当者で今は仕事のパートナーでもある染色職人の西田清さんとの出会いですか?
そうですね。営業担当ではどうしても限界があって、どっぷり西田さん側に付かないと気持ちを理解することは無理だなと思いましたし、その時にスーツを脱ぐ覚悟ができましたね。
職人仕事は全部手作業で効率が悪いから、銀行員から見ると「生産性悪いですね」って話になるわけですよ。でもそういうことじゃないやろって思っていて。仕事というか市場の世界ではやっぱり経済的なものが強いからそこのバランスを変えたいし整えたいなってのは思っていますね。
でも実際はそれが結構難しくて……。西田さん含めて職人さんって職人気質というか中々前に出たがらないんですよ。どうなったらいいのかが明確には分からないけど、コロナ禍になってからワークショップを開催し始めたことでヒントみたいなものが見え始めていますね。
ーーそれはどのようなものですか?
僕がやっているワークショップ「世界で一着の服をつくる染め工房体験」は、1回15,000円するんですね。ワークショップでその値段って高いんですけど、西田さんの技術を学びながら自分で作るので、百貨店で買ったら何倍もするGパンがそこで手に入ることもあるし、制作者の顔も見れて体験もできる。更に職人さんにもしっかり報酬が入るっていう仕組みにしているからお互いにとって無理してないんですよ。
僕の知り合いであれば、「中須が良いことやっているから参加してみよ」ってなるんですけど、何も知らない人が参加しても、値段以上の価値を提供できる自信があります。普通やったら知ることのできない世界に15,000円払ったら入れるなら僕は安いと思うんですよね。
この取り組みが職人さんが輝ける一つのきっかけになるか分からないけど、シンプルに良いものがちゃんと評価される世の中になってほしいなと思いますね。
みんなが笑って過ごせる世界をつくる
ーー本当の意味でサスティナブルな取り組みがこれからもっと増えていって欲しいですね。
最近思うのは「エシカル」「フェアトレード」などがテーマの商品は割高感があるけど買うことが良いみたいな風潮が少なからずあります。僕はその概念を壊したいです。
ーーもう少し詳しくお聞きしてもいいですか?
「エシカル」だから高いの当たり前やんっていうのは努力が足りないんじゃないのって僕は思うんですよね。
もっと売る側・伝える側が価値提案の趣向を凝らした方がいいと思っていて、ちゃんとしたものを作れば高いのは当たり前やし、お買い得感がないと色んな人を巻き込むのは難しい。でも、それらのバランスをどうとるかってことに僕は挑戦しています。その中で事業を継続しないといけないっていうところのバランスも取らないといけないからとても難しいんですけどね。
今は月に1回、ワークショップに申し込んでいただいた方に職人さんの工房に来てもらって、職人さんと僕でトークセッションしています。そこで仕事の向き合い方や大切にしていることをお伺いしたことで、「職人仕事は大変で、伝統を守りたいです」って言うだけではなく、背景にある思いも含めて価値提案ができているって自信を持てるようになったんですよね。
おかげさまで色んな方から好評なので、もっとエンターテインメントや楽しげなコンテンツを使っていきたいなと思っていますね。そういう動きをQUESTIONと一緒にできたらいいなと思います。
ーーありがとうございます。一緒にチャレンジしていきましょう。元同期の中須さんに負けないようにぼくも頑張ります!
(QUESTION 高木)
<パートナー概要>
組織名:株式会社 AFURIKA DOGS
ウェブサイト:https://afurikadogs.com/